2022年11月16日に伝統的工芸品産業の振興に関する法律(以下「伝産法」)に定める伝統的工芸品として、経済産業省により東京都、埼玉県の「東京三味線」及び「東京琴」、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の「江戸表具」が新たに指定されました。
東京都、埼玉県の「東京三味線」及び「東京琴」、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の「江戸表具」は、令和4年9月16日に開催した産業構造審議会製造産業分科会伝統的工芸品指定小委員会において審議を行った結果、新規指定することについて了承されたことから、本日、官報告示によって、経済産業大臣指定品目となりました。
これにより、伝統的工芸品は240品目となります。
中国の三絃(さんしぇん)が琉球で三線に、西日本で革張りに猫皮又は犬皮を用い、撥(ばち)で演奏する三味線へと変化して、17世紀に江戸へ移入された後、独自の変化を経て産地を形成。20世紀初頭には現在と同様の技術・技法及び主原料による製造が確立しました。
江戸時代における名工の輩出とともに広く一般に普及した東京三味線は、プロの演奏家から学生まで広く演奏される和楽器として大きく発展し、現在に至っています。
同種の和楽器と比較して、さわり場という音を響かせるための溝があり、独特の倍音を発生させる点に大きな特徴があります。
中国から伝来した箏(こと)は、平安時代から江戸時代初期までは京都を中心とした朝廷や貴族社会で愛されました。その後一般社会への広がりを見せ、江戸中期には江戸へと移植、山田流筝曲の発展とともに東京琴の製造が活発に行われるようになり、19世紀半ばには現在と同様の技術・技法及び主原料による製造が確立しました。
琴は、雅楽や三味線の伴奏楽器でしたが、江戸後期に主奏楽器として定着、音量増大や音質明瞭化等の改良が施された後、プロの演奏家から学生まで広く演奏に用いられる和楽器となりました。
丸爪を使い楽器に対して正面に構えて演奏すること、楽器の縦方向・横方向のカーブが急角度であること及び音量が大きく豊かで明瞭な音色が出ること等の特徴があります。
表具の歴史は奈良時代に始まりますが、江戸表具の産地形成は、17世紀初頭、江戸の徳川幕府開設時に、京都から大名・寺社のお抱え表具師がともに上京し江戸に居を構えたのが始まりです。18世紀には現在と同様の技術・技法が、19世紀には現在と同様の主原料による製造が確立しました。
紙や布地を糊で貼り合わせる技術「裏打ち・下張り・上張り」や本紙の周囲に布地や紙を継ぎ合わせ一体化する技術「切継ぎ」で製作され、掛軸、巻子、襖、屏風、額、衝立、壁張付等、部屋や押入れの仕切り、室内装飾及び書や絵画の保存を目的に様々な用途で用いられます。
風の吹く関東の気候に合わせ糊の濃度を加減して製作される点等に特徴があります。